大滝

 

 

 

 

 向こうの方で風が山の頂を通っているような音がする。気をつけてそちを見ると何だかわけのわからない白い細長いものが山をうごいて落ちてけむりを立てているのが分かる。それがなめとこ山の大空滝だ。そして昔はそのへんには熊がごちゃごちゃ居たそうだ。

(中略)

だからもう熊はなめとこ山で赤い舌をべろべろ吐いて谷をわたったり熊の子供らがすもうをとっておしまいぽかぽか撲りあったりしていることはたしかだ。

(童話『なめとこ山の熊』より)

 

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