月例会3月の予定
「春と修羅」第二集
「四五 海蝕台地」
「四六 山火」
東北地方の早春は、きっと樹木や大地の見えない内部で、私たちには想像もできないくらい真剣でいのちがけの、もの凄い生命エネルギーの発動と動きがあるのではないだろうか。梅も桃も桜も急に咲き出す春光の降り注ぐ前に、本当の再生のドラマが一本の木や草の中で繰り広げられているのだ。
古い劫(カルパ)の記念碑である……
「四五 海蝕台地」より 一九二四・四・六
この恐ろしい巨きな夜の華の下
「四六 山火」より 一九二四・四・六
大正13年(一九二四年)夏の心象スケッチには童話「銀河鉄道の夜」との関連を、はっきり感じさせる作品がある。そのことを思うと、大正13年春から初夏にかけての詩(心象スケッチ)は、まだかたちにはなっていないけれども、見えない地下水脈のところで、大きなドラマが滔々と語られていたのではないだろうか。それは未だことばにかたち創られる以前の、ことばの原形質のようなもの。妹トシの死を越えた時、思いがけなく古い己れの意識の深層から汲み上げられた「いのち」のようなもの、暗い巨きな闇の中から、一点の光、銀河鉄道がかたちを得て走り出す、そのまだ見えないいのちそのもののようなもの。
文・熊谷えり子