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平成19年
9月の読書会

月例会8月、9月の予定

 8月の読書会はお休みになります。(8月25日の月例会は翌日が丁度宮沢賢治生誕前夜祭に当たる為、そのリハーサルをしますので)9月の読書会は「一一八 函館港春夜光景」をやります。

   7月読書会で読んだ「一一六 津軽海峡」から思うことなど
 宮沢賢治の心象スケッチは難しい、わからない。だけど海の色、動き、光るさまを水の「七いろの衣裳」と言いスケッチしているフレーズは凄い、胸がドキドキする。これはぜったい水の妖精の踊りだ。
 だけど、もっと大きなものがこのスケッチには描きこまれているように思う。賢治にとって津軽海峡は、「心象の気圏の底」(大正12年に書いた「津軽海峡」)なのだから。
 津軽海峡は「二つの潮の交会点」、暖流と寒流がぶつかり合い、二つの異なる潮が統合していく「水の結婚」するところ、だから賢治には特別な関心があったのだろう。たとえば種山ヶ原が大きな東西の風のぶつかり合う所で、賢治にとって、そこが宇宙(自然界)を全身で感じ、自然と一つになり次元の扉が開かれている場所であったように。そのように水の惑星地球のドラマを「津軽海峡」〈潮の交会点〉に賢治は何か感じていたのかもしれない。
 今、私がここから連想するのは、東西文明(二つの潮)の交会点は日本であり、それが21世紀の今まさに行われようとしているということ。もうすぐ「びやしく澄明な/東方風の結婚式」が始まろうとしているのではないだろうか。東西文明の統合は宮沢賢治を生んだ日本から必ず始まるだろう。
 去る7月8日地球マネジメント学会で山波言太郎氏は皆がビックリするような話をした。その中で山波氏は、人類がエデンの園に戻るには唯一つ入口がある。それは「エデンの東」すなわち日本だと説いた。賢治のいうすべての生き物は皆昔からの兄弟(いのちはひとつ)から、新しい人類の霊性文明は始まる。
 敗戦から62年目の8月、また8月15日は来る。西洋の物質文明に毒された日本は一度滅びる(戦争に敗ける)が、必ずフェ二ツクスのように再生する。エゴイズム文明を捨て美しい日本に甦るそのために命を捧げると日記に記し、22歳で特攻死した佐々木八郎。沢山の佐々木八郎たち、私は彼らを決して忘れない。彼らと共に日本の再生(本当の美しい日本)と地球の新時代を必ず見たい。


文・熊谷えり子


「春と修羅」第二集



作品 「一一八 函館港春夜光景」を
読みます。 (予定)


更新 H19 8/2
 

 

平成19年
4月の読書会

月例会4月の予定

 「春と修羅」第二集 「九三[ふたりおんなじさういふ奇体な扮装で]」。

 3月からひき続いて、元は一つの心象スケッチである「九三[日脚がぼうとひろがれば]」「九三[ふたりおんなじさういふ奇体な扮装で]」をやります。転生するこの詩を丁寧にみていくと、「春と修羅第二集」の宮沢賢治と心象スケッチの問題点がきっと浮かび上がってくると思います。
 この作品「九三」は何といっても先駆形の「曠原淑女」が思い出されます。そして何か胸が温かいもので一杯になります。「曠原淑女」の明るさ爽やかさ、何よりもこの詩には宮沢賢治以外誰も書き得ない言葉が書いてあるのです。
 
  風よたのしいおまえのことばを
  もっとはっきり
  この人たちにきこえるやうに云ってくれ
 
                         (「曠原淑女」より)

 風の言葉を聞きとって黒い小さな手帳に書き留める詩人賢治の秘密。その宮沢賢治の風に呼びかける透明な声が、ここには書きとめられています。だから軽やかなこの詩が、思いの外心に深く残り、自然への憧れが沸々と沸き上がってくるのです。
 私たちの会報誌10号が出来ましたが、もうご覧になりましたか。あの桜いろの表紙のイラスト(小池潮里さん作)、とても素敵ですね。眺めていると、どんどんもっと素敵になります。そして〈ああ、私も風の言葉を聞き、私の「透明な手帳」にこっそり風の言葉を書きたいなあ〉と、本当に思います。
 来月(4月)から、月例会の会場が変わります。新会場は、若宮大路を鎌倉の海に向かってまっすぐ歩き、やどり木の黄金のゴールをくぐってすこし先、あのつめ草の花咲くポラーノの広場のすぐ隣りです。(嘘じゃないです)。4月からそこは癒しと浄化と学びの私たちの拠点になります。本当に「罪や、かなしみでさへそこでは聖くきれいにかゞやいてゐる」場所になるはずなのですから。


文・熊谷えり子


「春と修羅」第二集



作品 「九三[ふたりおんなじさういふ奇体な扮装で]」
を読みます。(予定)


更新 H19 3/28
 


平成19年
1月の読書会

月例会1月の予定

 「春と修羅」第二集「八六 山火」。

 2007年あけましておめでとうございます。
 今年もどうぞよろしくお願い致します。読書会はひきつづき「春と修羅」第二集を読んでいきます。作品と読み手の心の共鳴から新たな光が生まれる場になればいいなと思います。そしてメンバーの方々と今年もますます真摯にダイナミックに〈デクノボー〉をもとめていきたいと思います。そしてひとりひとり皆、石炭袋をこえていきましょう。辛いときには賢治先生の美しい言葉が次々蘇って、透明なエネルギーを送ってくれます。

 みんなが町で暮したり
 一日あそんでゐるときに
 おまへはひとりであの石原の草を刈る
 そのさびしさでおまへは音をつくるのだ
 多くの侮辱や窮乏の
 それらを噛んで歌ふのだ
 もしも楽器がなかったら
 いゝかおまへはおれの弟子なのだ
 ちからのかぎり
 そらいっぱいの
 光でできたパイプオルガンを弾くがいゝ
                    
(三八四 告別 より)

 あなたにも、光でできたパイプオルガンが見えますね。


二○○七年  元旦
文・熊谷えり子


「春と修羅」第二集



作品 「八六 山火」を読みます。(予定)


更新 H19 1/1
 






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